ALVIS

News Release: EN | JA
Product Pictures: Download
Category
LED Table Light
About This Project

ALVISは私たちが行っている一連の持続可能性に関するリサーチの結果誕生した全く新しい照明のコンセプトになります

LEDはその消費電力の少なさや変換効率の高さから今や照明器具の光源として欠かせない素材ではありますが、反面十分な光量を得ようとすると排熱や冷却に気を使う扱いの難しい技術でもあります。そのため既存の製品では冷却効率の良い金属製の筐体や耐熱性の高いガラスやセラミックスなどの素材を用いることが半ば常識とされてきていました。

それらは意匠性とも関係するため、一概に悪い設計とは言えませんが少なくともそのような素材を使用するためには予め成形用の型などを制作する必要があり結果として製造プロセス全体での素材の使用量の増大や環境負荷指数の上昇を招いてしまいます。

ALVISは母材に粉末状のナイロン樹脂を採用し成形しています。大きな特徴としてレーザー焼結のため成形専用の型を必要としないこと、また成型時にレーザーを照射されず使用されなかった粉体は再利用が可能であるため制作プロセス全体から見て素材ロスを限りなくゼロに近付けることが可能です。事実、本作制作時においては、筐体体積の大凡70%程度がリサイクルされた粉末で成形をおこなっております。

ナイロン樹脂はエンジニアリングポリマーとも呼ばれ、一般的な製品の外装として使用される樹脂と比較して良好な機械的特性(メカニカルプロパティ)や物性(マテリアルプロパティ)を示しますが反面、美観に関しては後述の素材に劣るとされています。あわせて良好な特性を保持しているとはいえあくまで樹脂としての範疇の話であり、特に耐熱、耐火性に関しては金属素材と比較ができるものではありません。

そこで我々は伝統的な建築資材、とくに壁材として採用されている漆喰とその基材に注目しコーティング材として使用することで前述する熱要件(サーマルプロパティ)を克服しなおかつ優れた美観を獲得することを目標として試行錯誤を続けてきました。一般的にそれら伝統的な素材は水を媒介として重合するため一般的なプラスチックのような疎水性を示す素材とは相性が悪いとされています。

そこで私たちは母材の成形方法を工夫し、表層にポーラス(空隙)を敢えて多く作ることで素焼きのセラミックのような特性を持たせる事に成功しました。その他表面に塗布する素材に関しても前述したポーラスに対して架橋構造をなしやすいようメディウムに加工を加えて一般的な塗装工法と同じ感覚で扱える様工夫をしています。

現状再生材や生分解性を謳ったデザインコンセプトの多くが採用している素材やその活用方法に対して何ら新しい物理的特性を獲得させないなど蓋然性が低く単なる消費の再生産を奇抜な素材運用等と言ったアート的な文脈から補完しているだけに過ぎません。

本コンセプトは見た目だけとされる前例には無い新しい素材活用の可能性を追求した全く新しいコンセプトであると自負しています。